【初心者向け】債券投資とは?リスクを抑えて始める安全な投資術
はじめに
「投資」という言葉を聞くと、株式市場の激しい値動きや、大きな損失のリスクを思い浮かべる方も多いでしょう。特に投資初心者の方にとって、「知識不足で失敗するのでは?」「大切な資産を失ってしまうのでは?」という不安は大きなハードルとなります。
しかし、投資の世界には株式以外にも様々な選択肢があります。その中でも「債券投資」は、比較的リスクが低く、安定した収益を目指せる投資方法として、初心者の方にもおすすめできる選択肢です。
この記事では、投資の基礎知識がまったくない方でも理解できるよう、債券投資の基本から始め方まで、徹底的に解説します。「いつ始めるべきか」「どれくらいの資金が必要か」「信頼できる情報はどこにあるのか」といった疑問にも答えていきますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 債券投資とは?基本を徹底解説

債券の定義と仕組み
債券とは、簡単に言えば「お金を貸した証明書」です。国や企業がお金を調達するために発行し、投資家はそれを購入することで、発行体にお金を貸し出します。その見返りとして、定期的に利息(クーポン)を受け取り、満期になると元本が返済されます。
具体的な例を挙げると:
- 1,000万円の10年物国債を購入した場合
- 年利0.5%のクーポンが設定されていれば
- 毎年5万円の利息収入が得られる
- 10年後に元本の1,000万円が戻ってくる
株式投資との違い
株式投資と債券投資の大きな違いは以下の点です:
項目 | 債券投資 | 株式投資 |
立場 | 貸主(債権者) | 株主(所有者) |
収入源 | 利息(固定) | 配当金(変動)・値上がり益 |
リスク | 比較的低い | 比較的高い |
リターン | 予測可能だが限定的 | 高いリターンの可能性あり |
元本保証 | 満期時に原則返済 | なし |
債券投資のメリット
- 安定性が高い:株式と比べて価格変動が小さく、元本が返済される見込みが高い
- 定期的な収入:定められた利息が定期的に支払われる
- 分散投資の手段:株式などの他の資産と組み合わせることでリスク分散になる
- 予測可能性:将来いくら受け取れるかが事前に分かりやすい
2. 債券の種類を知ろう
債券には様々な種類がありますが、主なものを紹介します。
国債
国が発行する債券で、信用リスクが最も低いとされています。
- 短期国債(T-Bill):満期が1年未満
- 中期国債:満期が1年~10年
- 長期国債:満期が10年以上
日本では、個人向け国債も人気で、特に変動10年タイプ(半年ごとに金利が見直される)は初心者にも検討しやすい商品です。
米国債(米国財務省証券)も世界的に人気が高く、日本の個人投資家も購入可能です。
社債
企業が発行する債券で、企業の信用力によってリスクとリターンが変わります。
- 投資適格債:比較的安全性の高い企業の債券(格付けBBB-以上)
- ハイイールド債(ジャンク債):リスクが高い代わりに利回りも高い(格付けBB+以下)
具体例としては、トヨタ自動車やソフトバンクグループ、アップルやマイクロソフトなどの大企業が発行する社債が有名です。
地方債
地方公共団体が発行する債券です。都道府県や市町村が財源を調達するために発行します。国債に次いで安全性が高いとされています。
債券ETF・投資信託
個別の債券を直接購入するのではなく、多数の債券に分散投資する商品です。少額から始められ、流動性も高いため、初心者には特におすすめです。
代表的な商品:
- バンガード・トータル債券市場ETF (BND)
- iシェアーズコア米国総合債券ETF (AGG)
- NEXT FUNDS 国債指数上場投信(1486)
- eMAXIS Slim 米国債券インデックス
3. 債券投資のリスクと対策

債券は比較的安全な投資とされていますが、リスクがまったくないわけではありません。主なリスクと対策を見ていきましょう。
金利変動リスク
金利が上昇すると、既存の債券価格は下落します。これは、新しく発行される債券の利回りが高くなるため、低い利回りの既存債券の価値が相対的に下がるためです。
対策:
- 満期まで保有する戦略(償還時には額面で返済される)
- ラダー戦略(満期の異なる債券に分散投資)
- 変動金利型の債券を選ぶ
信用リスク
発行体(国や企業)が破綻し、利払いや元本返済ができなくなるリスクです。
対策:
- 格付けの高い債券を選ぶ
- 分散投資を行う
- 債券ETFを活用する
インフレリスク
インフレによって債券の実質的な価値が目減りするリスクです。
対策:
- 物価連動国債への投資
- 短期債への投資(金利変動に対応しやすい)
- 他の資産クラス(株式など)との分散投資
流動性リスク
債券を売りたいときに、希望する価格で売れないリスクです。
対策:
- 流通量の多い国債や大企業の社債を選ぶ
- 債券ETFを活用する(取引が容易)
4. 初心者でも失敗しない債券投資の始め方

必要資金の目安
債券投資は、個別債券の場合、最低購入単位が高めに設定されていることがあります。
- 個人向け国債:最低1万円から
- 一般の国債・社債:最低100万円程度から
- 債券ETF・投資信託:数千円から
初心者の方には、少額から始められる債券ETFや投資信託がおすすめです。例えば「eMAXIS Slim 米国債券インデックス」なら100円から投資可能です。
投資タイミングの見極め方
債券投資のタイミングを考える際のポイントは以下の通りです:
- 金利環境:金利上昇局面では新規購入を控える、または短期債を検討
- 経済情勢:景気後退期には安全資産として債券需要が高まりやすい
- 自分の資金計画:いつまでに資金が必要かに合わせて満期を選ぶ
ただし、初心者の方は「ドルコスト平均法」(一定額を定期的に投資する方法)で始めるのが最も簡単で失敗が少ないでしょう。
分散投資の重要性
債券投資においても、分散投資は重要です。以下のような分散を考えましょう:
- 発行体の分散:複数の国や企業の債券に投資
- 満期の分散:短期・中期・長期の債券をバランスよく保有
- 通貨の分散:円建て債券だけでなく、ドル建てなども検討
- 資産クラスの分散:債券だけでなく、一部は株式や不動産などにも
長期投資の考え方
債券投資では、短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で運用することが大切です。特に、金利変動リスクは満期まで保有することで軽減できます。
債券を組み入れた長期投資のモデルケースとして、年齢に応じた資産配分の目安があります:
- 「100 - 年齢 = 株式の割合(%)」、残りを債券に
- 例:30歳なら株式70%、債券30%
- 例:60歳なら株式40%、債券60%
5. 債券投資を始める具体的なステップ
証券口座の開設方法
債券投資を始めるには、証券口座が必要です。主な証券会社の特徴は以下の通りです:
- SBI証券:債券の品揃えが豊富、手数料が比較的安い
- 楽天証券:楽天ポイントが貯まる、使いやすいインターフェース
- マネックス証券:外国債券の取扱いが充実
- 大手証券(野村、大和、SMBC日興など):対面でのサポートが充実
口座開設には、本人確認書類(運転免許証など)とマイナンバーが必要です。オンラインで15分程度で申し込み可能で、1週間程度で開設完了します。
債券の購入方法
- 個別債券の購入:
- 証券会社のサイトで「債券」または「Bond」のメニューを選択
- 希望する債券の条件(発行体、満期、利回りなど)で検索
- 購入希望の債券を選び、購入数量を入力して注文
- 債券ETF・投資信託の購入:
- 証券会社のサイトで「ETF」または「投資信託」のメニューを選択
- 債券関連の商品を検索
- 購入希望の商品を選び、購入金額を入力して注文
情報収集の信頼できる情報源
債券投資に関する情報収集には、以下のような情報源が役立ちます:
- 日本銀行・財務省の公式サイト:金利政策や国債発行情報
- 証券会社のレポート:市場分析や債券情報
- 経済メディア:日経新聞、ブルームバーグ、ロイターなど
- 投資関連書籍:『債券投資の基本と儲け方』(ダイヤモンド社)など
投資額の決め方
初心者の方の投資額の決め方のポイントは以下の通りです:
- 緊急資金を確保した上で:3~6ヶ月分の生活費は別に確保
- 余裕資金で投資する:無理のない範囲で
- 段階的に増やす:最初は少額から始め、慣れてきたら増やす
- 定期的な積立:毎月一定額を投資する習慣をつける
6. よくある質問と回答(FAQ)
少額から始められる?
A: はい、債券ETFや投資信託なら数千円から始められます。特に投資信託の積立投資なら毎月100円程度から可能な商品もあります。
どれくらいの期間で運用すべき?
A: 債券投資は中長期(3年以上)での運用がおすすめです。特に金利変動リスクを考えると、満期まで保有する前提で投資期間を設定するとよいでしょう。
金利上昇局面ではどうすべき?
A: 金利上昇局面では、既存の債券価格は下落傾向になります。新規投資なら短期債を選ぶ、変動金利型を選ぶ、または債券購入のタイミングを分散させる方法が考えられます。
個人向け国債と普通の国債の違いは?
A: 個人向け国債は個人投資家専用で、最低購入額が低く(1万円~)、中途換金も可能です。一方、普通の国債は最低購入額が高め(10万円~)で、機関投資家も購入します。流動性は普通の国債の方が高いことが多いです。
まとめ
債券投資は、株式投資に比べてリスクが低く、安定した収益を目指せる投資方法です。特に投資初心者の方にとって、以下のポイントを押さえておくことが大切です:
- 基本を理解する:債券は「お金を貸している」という立場の投資
- リスクを認識する:金利変動、信用、インフレなどのリスクがある
- 分散投資を心がける:種類、満期、通貨などを分散させる
- 長期的視点で投資する:短期的な値動きに一喜一憂しない
- 少額から始める:債券ETFや投資信託なら少額から可能
まずは少額から債券ETFや投資信託で投資を始め、徐々に知識と経験を積みながら、自分に合った債券投資のスタイルを見つけていくことをおすすめします。
投資は長い旅です。一歩一歩、着実に歩んでいきましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。